自動精算機は感染症対策や業務の効率化が期待されるため、各施設で導入が進んでいます。同時に、勘定科目や耐用年数が分からず、仕分けに迷われている方が非常に多いです。会計処理は複雑なので、専門家でも悩んでしまう部分は多いでしょう。
そこで今回は、自動精算機の耐用年数(減価償却期間)や勘定科目について解説していきます。近年ではリースでの導入も増えているので、購入時との違いについても一緒に確認していきましょう。
耐用年数について知る前にまずは自動精算機の基礎知識を抑えておきたい方は下記の記事をご覧ください。

【まずは結論】自動精算機の耐用年数は?
自動精算機の法定耐用年数は5年と定められています。自動精算機は多くの店舗で使われているPOSレジと同様、顧客の会計情報がデータとして蓄積されるシステムです。
POSレジの勘定科目は「事務機器・通信機器」となっています。自動精算機も一見すると同じカテゴリーのように感じるでしょう。しかし、自動精算機の勘定科目については、設置場所によって変わってきます。
例えば、コインパーキングに設置されている場合の勘定科目は「無人駐車管理装置」になるのです。このように同じシステムだとしても、条件次第では全く別の区分に分けられてしまいます。
リースの場合
リースの場合、耐用年数は契約条件により異なります。
所有権が利用者に移る所有権移転契約であれば、国税庁が定めている5年です。
反対に所有権が常にリース会社にある所有権移転外契約の場合、リース期間契約が耐用年数となります。
いずれの契約方法でも購入に準じた扱いとなるため、利用者が減価償却をする必要があるので注意しましょう。
耐用年数・減価償却・固定資産の意味をわかりやすく解説

そもそも耐用年数や減価償却・固定資産税とは、どのような意味なのでしょうか。以下で詳しく解説していきます。
法定耐用年数とは
法定耐用年数とは、国税庁が決めた減価償却期間のことを指します。前述した通り自動精算機の耐用年数が5年というのも、国税庁により定められているのです。業務において必要な機器や製品などの固定資産は、消耗品とは違いすぐになくなるものではありません。
しかし、使用すればするほど確実に機能は衰えるため、価値は下がっていきます。数年後には故障や不具合・経年劣化により、当初資産が持っていた価値はなくなってしまうのです。下がった価値の帳尻を合わせるためには、毎年経費として処理していく必要があります。
耐用年数は、価値を維持するための補修を行うことを前提として定められているものです。また、通常の作業条件下で使用されることを前提としています。そのため、同じ製品であっても条件によっては勘定科目や耐用年数が異なるので注意しましょう。
減価償却とは
減価償却とは、固定資産の購入費用を法定耐用年数の間に分割して費用計上する会計処理方法です。減価償却資産は消耗品とは違い長年にわたって使用するので、基本的には一度に経費として計上しません。
例えば300万円の自動精算機を購入した場合、法定耐用年数である5年で割ると1年で60万円となります。この60万円を、購入日から5年かけて毎年会計処理をしていく必要があるのです。
固定資産とは
固定資産とは一年以上保有する資産のことを指します。代表的なもので言えば、パソコンやサーバー・土地・オフィスのデスクなどです。固定資産として該当させるには、以下の条件を満たす必要があります。
・一年以上保有するもの(一年未満に使い切る物については消耗品費として処理します)
・自社で使用する目的として保有するもの(販売目的で保有する在庫は含まれません)
・一定以上の金額であること(金額のラインは企業が決めます)
自動精算機は耐用年数が5年であるため、販売ではなく使用という目的であれば条件に満たしているといえます。
自動精算機導入方法別の耐用年数・減価償却方法について
ここからは、自動精算機の耐用年数や減価償却法を導入方法別に解説していきます。

自動精算機を購入した場合
自動精算機の価格相場は200万〜450万円です。一括購入する場合は初期費用が高く感じられますが、その後の費用はほとんどかかりません。メンテナンスや修理費などは発生しますが、購入を含めたとしてもトータルコストは安く済みます。
一つの製品を長く使い続けるほど、お得になる方法といえるでしょう。所有権は購入者本人になり、減価償却も自身で行います。

自動精算機を購入した場合の減価償却
国税庁が定めた法定耐用年数に従って減価償却処理を行います。自動精算機は通常であれば「事務機器・通信機器」の勘定科目に含まれ、耐用年数は5年です。耐用年数を超えて利用したとしても、減価償却はできないので注意しましょう。
自動精算機をリースした場合
リースの場合、所有権はリース会社にあります。契約者はリース期間中、決められた料金を支払うことで自動精算機を利用できるようになるのです。本体費用はリース会社が定めた金額に含まれており、分割して支払うためまとまったお金は必要ありせん。
初期費用を安く抑えられ、導入時の負担を抑えられます。機種の指定が可能で、新品を導入できる点もメリットです。リース期間終了後には最新の機器と入れ替えるなど、柔軟な運用も行えます。
デメリットとしては、契約途中の解約ができない点です。また、リース会社への手数料が上乗せされるため、トータルコストは高くなります。契約時には事前審査が必要になるので、すぐに導入ができない点もデメリットといえるでしょう。
自動精算機をリースした場合の減価償却
リース契約の場合は、取引の種類によっては購入に準じた扱いとなります。そのため、利用者が減価償却を行う必要があるのです。所有権移転契約では、購入した際と同じように減価償却を行います。
所有権移転外契約の場合は、契約期間が耐用年数として扱われるので注意が必要です。
耐用年数を考慮した計画的な自動精算機の導入
施設の運営を安定させるためには、固定資産を含めた長期的な視点が必要になります。そのために、自動精算機やさまざまな医療機器の買い替え時期をずらすことが最も有効な手段といえるでしょう。
それにより、減価償却を毎年途切れることなく行える上に節税効果も高められます。それぞれの耐用年数をチェックしたうえで、必要に応じてリースを利用して取り入れるのがおすすめです。
まとめ
固定資産の減価償却は施設を運営するにあたって、必ず行わなければなりません。資産ごとの耐用年数や勘定科目は異なるため、迷われる方は非常に多いです。また、購入とリースなど導入方法によっても耐用年数が変わる場合があります。
自動精算機は基本的にPOSレジと同じですが、条件により該当から外れる場合があるので注意しましょう。施設内には多くの固定資産があるため、それぞれの耐用年数をチェックすることが安定した運営の一歩となります。
