- パッケージ型介護ソフトの基礎知識
- パッケージ型介護ソフトとクラウド型介護ソフトの違い
- パッケージ型介護ソフトのメリットデメリット
- パッケージ型介護ソフトがおすすめの事業所
介護業界の人材不足によるスタッフの負担を軽減するために、介護ソフトを導入する施設が増えています。パッケージ型はインターネット環境がなくても利用ができ、長く使い続けるほどコストパフォーマンスが良いです。
近年ではクラウド型の需要が多いものの、パッケージ型も根強い人気があります。では、実際にパッケージ型介護ソフトではどのようなメリットがあるのでしょうか。今回はパッケージ型介護ソフトのメリットや、対局しているクラウド型との違いについて解説していきます。
この記事では介護ソフトのパッケージ型について解説しています。その前に介護ソフトの基礎知識をおさらいしたい方は下記の記事をご覧ください。

パッケージ(オンプレ)型の介護ソフトとは?
パッケージ型の介護ソフトとは、介護ソフトメーカーが販売するソフトウェアを購入してパソコンなどにインストールして使用する方法です。ソフトウェアはCD-ROMなどのディスクか、メーカーのHPから事業所のパソコンにインストールします。
ソフトをインストールしてしまえば、国保連への請求時以外はインターネットにアクセスする必要がありません。使い方次第ではインターネット環境がないパソコンでも使用でき、セキュリティ面でも安心です。
パッケージソフトとは、特定のパソコンにインストールして使用する目的で販売されているソフトウェアのことです。メーカーから受け取ったCD-ROMやUSBなどや、メーカーが指定するサイトにアクセスしてインストールを行います。
一台のパソコンのみにインストールする場合は「スタンド・アローン」とも呼ばれます。反対に「クライアントサーバー」は、複数台のパソコンで同時に使用できるようネットワークで繋ぐ方法です。
パッケージ型と対になるのはクラウド型介護ソフト
パッケージ型の対極にある運用形態として、クラウド型が挙げられます。クラウド型は、介護ソフトメーカーのシステムにアクセスして使用する方法です。インターネット上にデータが保存されているため、時間や場所を選ばず閲覧や編集ができます。
紙媒体を持ち歩く必要がなく、紛失による情報漏洩や災害時の損失リスクがほとんどありません。利用者のもとに訪問するサービスを行っている事業所にとっては、業務効率化に役立つシステムといえます。
料金面で比較すると、クラウド型は初期費用が安価・無料である代わりに月額利用料が発生します。対して、パッケージ型は月額費用はかかりませんが、導入時にソフトの購入費用としてまとまった資金が必要です。
長く使用するほどコストパフォーマンスが良くなるため、一概にパッケージ型の方が高額というわけではありません。ただし、使用できる端末が限られており自由度も低いため、近年ではクラウド型の方が需要は高いです。
その需要の高さから、クラウド型のみを取り扱っているメーカーも少なくありません。以下は、パッケージ型とクラウド型を比較した表になります。
パッケージ型 | クラウド型 | |
---|---|---|
概要 | 特定のパソコンにシステムをインストールして運用する方法。一台のパソコンのみで運用する「スタンド・アローン」から複数台で同時使用可能な「クライアントサーバー」などがある。 | 介護ソフトメーカーのシステムにアクセスして運用する方法。インターネット環境と対応端末があれば時間と場所を選ばず利用できる。 |
導入価格 ランニングコスト | 導入時に数十万〜数百万円以上のソフト購入費が必要。金額はサービス形態や施設の規模により異なる。ソフトを購入した後は、年間の保守費用のみで運用できる。 | 初期費用が無料〜安価で提供しているメーカーがほとんど。利用期間中は月額利用料が数千〜数万円程度必要。 |
メリット | ・月額利用料がかからない・長く運用するほどコストパフォーマンスに優れている・インターネットを介した情報漏洩リスクが低い | ・定期的なアップデートで常に最新のシステムを利用できる・インターネット環境と対応端末があれば、時間や場所を選ばずアクセスできる・安価での導入が可能・常に新しい情報をキャッチできる |
デメリット | ・ソフトをインストールしたパソコンでしか使えない・パソコンに異常が生じた場合、データ損失のリスクがある・インストールやアップデートはソフトを取り寄せたり自力で行うため、手間や時間がかかる・導入時にまとまった費用が必要 | ・利用期間中は継続的に料金を支払い続けなければならない・長時間のシステムメンテナンス中はアクセスできない・アクセスするためのIDやパスワードの管理や端末の持ち出し管理を徹底する必要がある |
クラウド型介護ソフトについては以下の記事で詳しく解説しています。

パッケージ型介護ソフトのメリット
ここからは、パッケージ型介護ソフトのメリットとデメリットについてさらに深く掘り下げていきます。まずはメリットから見ていきましょう。
- インストールした端末であればインターネットがなくても利用可能
- 長期で見るとクラウド型よりトータルコストが下がる場合あり
- セキュリティ面でクラウド型より優れている場合あり
①インストールした端末であればインターネットがなくても利用可能
パッケージ型は、一度ソフトをインストールしてしまえば国保連への請求時以外はインターネットは不要です。そのためインターネット通信に障害が生じても、問題なく使用できます。災害時など万が一の際にも、パソコンが故障しない限りアクセスが可能です。
複数のパソコンで同時に作業を行いたい場合は「クライアントサーバー」という方法があります。追加で院内サーバーの導入費用がかかりますが、作業効率が上がりコストパフォーマンスも良くなるでしょう。
②長期で見るとクラウド型よりトータルコストが下がる場合あり
パッケージ型は最初にソフトを購入するため、導入時にまとまった費用が発生します。それ以降は年間の保守費用や更新時のアップデート費が必要です。一見すると高く感じられますが、長く使うほどコストを抑えられます。
クラウド型は初期費用が無料である分、利用期間中は月額費用が必要です。2つの運用形態を比較しても、長期目線で見るとパッケージ型の方がお得になる場合があります。
③セキュリティ面でクラウド型より優れている場合あり
介護ソフトは施設の利用者やスタッフの情報が含まれているため、セキュリティ面に注意しなければなりません。近年では、インターネットを通じてデータを抜き取ろうとする被害も相次いでいるのです。
パッケージ型はインターネットを使わなくても運用ができるので、サイバー攻撃のリスクを抑えられます。ただしパソコンが故障してしまうと、最悪の場合データ消失の危険があるため定期的なバックアップがおすすめです。

パッケージ型介護ソフトのデメリット
続いて、パッケージ型介護ソフトのデメリットについて詳しく解説していきます。
- 基本的にクラウド型よりコストが高い
- 制度改正などに合わせて自分でアップデート対応する必要あり
- 外出先では利用できない
①基本的にクラウド型よりコストが高い
パッケージ型の介護ソフトは、サービス形態により異なりますが初期費用として数十万〜数百万円以上かかります。その他に年間の保守費用として数万円程度必要です。クラウド型介護ソフトは初期費用は無料、月額利用料は数万円が相場となってます。
パッケージ型は特定のパソコンでしか使用できないのに対し、クラウド型は台数制限がない場合も珍しくありません。長期目線で見ればトータルコストが逆転する可能性は充分にありますが、それでもパッケージ型の方が高いです。
②制度改正などに合わせて自分でアップデート対応する必要あり
介護保険制度は3年に1度見直されています。それに伴って各事業所では、介護ソフトをアップデートをしていく必要があるのです。クラウド型はソフトメーカーの方で対応してくれますが、パッケージ型の場合は自分で行わなければいけません。
パソコン操作に慣れているスタッフがいれば、問題なくスムーズに進められるでしょう。しかし、そうでない事業所では負担に感じる業務のひとつになってしまいます。アップデートを含む操作面に不安を感じる方は、サポートが充実しているメーカーを選びましょう。
③外出先では利用できない
パッケージ型は介護ソフトをインストールしたパソコンでしか利用ができません。そのため、外出先に持ち出しての操作は難しくなります。クラウド型は対応している端末とインターネット環境があればいつ・どこでもアクセス可能です。
訪問介護など施設外で利用者にサービス提供をする事業所であれば、クラウド型の方がおすすめといえます。
パッケージ型よりクラウド型介護ソフトの方がおすすめのケースが多い
ここまで、クラウド型と比較しつつパッケージ型について詳しく解説してきました。近年では便利で使い勝手が良く、低価格での導入が可能なクラウド型の利用者数が伸びています。以前は主流だったパッケージ型ですが、現在はクラウド型の方が勢いがあるといえるでしょう。
各事業所からの需要の高さから、クラウド型を扱うメーカーがシェアランキングの上位を占めています。以下は、介護ソフトのシェアランキングです。
シェアランキング | 製品名 | 導入形態 | 導入数 |
---|---|---|---|
1位 | ほのぼのシリーズ | オンプレミス/クラウド(ASP) | 52,000 |
2位 | ワイズマン | クラウド(ASP) | 44,000 |
3位 | カイポケ | クラウド(ASP) | 42,850 |
4位 | カナミック | クラウド(ASP) | 38,800 |
5位 | ケアカルテ | クラウド(ASP) | 14,000 |
6位 | Flowers NEXT | クラウド(ASP) | 6,000 |
7位 | トリケアトプス | クラウド(ASP) | 6,000 |
8位 | ナーシングネットプラスワン | クラウド(ASP) | 6,000 |
9位 | 介舟ファミリー | クラウド(ASP) | 6,000 |
10位 | 福祉の森 | クラウド(ASP) | 5,000 |

パッケージ型の介護ソフトがおすすめの事業所とは?
上の表にもあるようにクラウド型は非常に人気で、導入数において毎年右肩上がりを続けているメーカーもあります。しかし、ある程度の中〜大型施設ではパッケージ型がおすすめの場合もあるのです。
中〜大規模施設は複数のパソコンで同時操作ができる「クライアントサーバー」を導入しても割高になりません。院内にサーバーを設置する必要がありますが、結果として効率アップを狙えるでしょう。
まとめ
今回はパッケージ型介護ソフトについて解説していきました。パッケージ型介護ソフトは、導入時にソフトを購入すれば月額利用料は発生しません。インターネットを利用しなくても運用できるため、情報漏洩リスクも減らせます。
しかし、ソフトを入れたパソコンでしか使えない・アップデートは自分で対応する必要がある点はデメリットです。需要の高さからクラウド型の導入数が伸びていますが、パッケージ型も施設によっては最適な運用方法があります。
パッケージ型・クラウド型両方のメリット・デメリットを理解したうえで導入を検討していきましょう。
以下の記事でおすすめの介護ソフトを紹介しているので、気になる方はチェックしてみてください。

