業務効率の向上や衛生面の強化など、自動釣銭機の導入にはさまざまなメリットがあります。しかしながら、設置スペースの問題で導入をためらっている施設も少なくありません。スペースに限りがある店舗の場合は、小型の自動釣銭機がおすすめです。
とはいえ、たくさんある自動釣銭機の中から、小型の自動釣銭機を探し出すのは難しいでしょう。そこで今回は、おすすめの小型自動釣銭機を厳選したうえで紹介していきます。小型の自動釣銭機をお探しの方は、是非参考にしてください。
【はじめに】自動釣銭機サイズの見方

自動釣銭機のサイズは、各メーカーの公式サイトに記載されているのが一般的です。多くの自動釣銭機は、下記のように貨幣・硬貨釣銭機などそれぞれのサイズが別々で記載されていることが多いでしょう。
紙幣つり銭機:「220(W)×540(D)×130(H)mm」
硬貨つり銭機:「260(W)×540(D)×130(H)mm」
包装硬貨管理機:「480(W)×535(D)×65(H)mm」
(W)(D)(H)などといったアルファベットが使用されており、見方がよく分からないという方もおられるでしょう。
自動釣銭機サイズの(W)は横幅(Width)、(D)は奥行(Depth)、そして(H)は高さ(Height)を意味しています。
自動釣銭機は紙幣釣銭機と、硬貨釣銭機が横に配置されているので、横幅はWの値の合計サイズになります。
さらに「包装硬貨管理機」のサイズ掲載があるものを見かけることも多いでしょう。包装硬貨管理機とは、紙幣釣銭機と効果釣銭機の下に設置するものです。ですので、包装硬貨管理機を付けた場合の高さは、紙幣釣銭機or硬貨釣銭機の高さと包装硬貨管理機の高さの合計になります。包装硬貨管理機はオプションとなることもあるので、スペースに限りがある場合は設置しないという選択肢もあるでしょう。
各メーカーの取り扱い自動釣銭機のサイズ一覧表
ここからは、各メーカーの取扱い自動釣銭機のサイズを一覧表でまとめていきます。
自動釣銭機名 | 取扱 | 企業名サイズ |
グローリー300 | スマレジ株式会社 株式会社ビジコム | 紙幣つり銭機:220(W)×540(D)×130(H)mm 硬貨つり銭機:260(W)×540(D)×130(H)mm 包装硬貨管理機:480(W)×535(D)×65(H)mm |
グローリー380 | 株式会社ビジコム ポスタス株式会社 | 紙幣つり銭機:140(W)×540(D)×260(H)mm 硬貨つり銭機:260(W)×540(D)×130(H)mm |
富士電機ECS-777 | 株式会社ビジコム | 紙幣つり銭機:220(W)×600(D)×130(H)mm 硬貨つり銭機:270(W)×600(D)×130(H)mm |
つりペイ君 | 旭精工株式会社 | 452(W)×451(D)×200(H)mm |
FAL3 | 日本電気株式会社 | 紙幣つり銭機:227(W)×570(D)×130(H)mm 硬貨つり銭機:253(W)×570(D)×130(H)mm |
FAL2 | 日本電気株式会社 | 490(W)×570(D)×135(H)mm |
ACE-100 | ローレルバンクマシン株式会社 | 紙幣つり銭機:220(W)×530(D)×121.5(H)mm 硬貨つり銭機:260(W)×530(D)×121.5(H)mm |
CR-20 | 沖電気工業株式会社 | 490(W)×570(D)×135(H)mm |
VITESE(ヴィッテス) VT-330 | 東芝テック株式会社 | 紙幣つり銭機:220(W)×540(D)×130(H)mm 硬貨つり銭機:260(W)×540(D)×130(H)mm 棒金ドロワ:260(W)×540(D)×55(H)mm 小型ドロワ:220(W)×530(D)×89(H)mmコ イントレー:220(W)×540(D)×33(H)mm |
Paycube | 株式会社日本コンラックス | キュービックタイプ:385(W)×345(D)×430(H)mm L型タイプ:530(W)×345(D)×430(H)mm |
小型サイズ自動釣銭機5選の性能と特徴を紹介
小型サイズのおすすめ自動釣銭機は下記の5種です。
- グローリー300
- つりペイ君
- FAL3
- VITESE(ヴィッテス) VT-330
- Paycube
ここからは、それぞれの小型自動釣銭機の特徴やサイズを詳しく紹介していきます。
グローリー300

■おすすめポイント
- 業界初の4.3インチカラーディスプレー搭載
- 使用時間中のエラー発生や違算の有無をひと目で把握
- 硬貨・貨幣部分が独立しているので自由にレイアウトが可能
■特徴
グローリー300はグローリー株式会社からリリースされている自動釣銭機で、スマレジやビジコムなど主要POSレジメーカーに導入相談が可能です。さまざまなPOSレジと連携できるので、既にPOSレジを使っている店舗でも導入しやすいでしょう。
グローリー300のディスプレーは4.3インチと大きく、釣銭機の稼働状況や操作履歴をひと目で把握することができます。さらに、貨幣部と硬貨部はそれぞれ独立したユニットになっており、左右入れ替えるなど店舗の仕様や環境に合わせて使いやすいレイアウトに変更できます。
■サイズ
- 紙幣つり銭機:220(W)×540(D)×130(H)mm
- 硬貨つり銭機:260(W)×540(D)×130(H)mm
- 包装硬貨管理機:480(W)×535(D)×65(H)mm
■製品情報
対応金種 | 硬貨:1円,5円,10円,50円,100円,500円 紙幣:千円,二千円,五千円,一万円 |
質量 | 紙幣つり銭機:約14㎏ 硬貨つり銭機:約24㎏(電源部含む) 包装硬貨管理機:約13㎏ |
処理速度 | 約2.7秒/1取引 |

つりペイ君

■おすすめポイント
- POSレジの下に置けるので省スペース化を実現
- 硬貨をたくさん入れておけるので補充の手間が省ける
- 低価格での導入が可能
■特徴
つりペイ君は旭精工株式会社から発売されている小型で格安な自動釣銭機です。入出金部分やタッチパネル部分には抗菌処理が施されており、クリニックや病院などの施設にも導入されています。
コンパクトな設計であるだけでなく、上部分にはPOSレジやタブレット、POS周辺機器を載せることができるようになっています。そのため、スペースに限りがある施設でも場所を選ばずに使用することができるでしょう。
■サイズ
452(W)×451(D)×200(H)mm
■製品情報
対応金種 | 硬貨:1円,5円,10円,50円,100円,500円 紙幣:千円,二千円,五千円,一万円 |
質量 | 硬貨部:約22㎏紙幣部:約13.5㎏ |
処理速度 | 【硬貨】払出:約3秒(999円)入金:約4枚/秒 【紙幣】払出:約2枚/秒 入金:約1枚/秒 |
FAL3

■おすすめポイント
- 電磁ロックにより収納庫アクセスの操作ミスを抑制
- 低消費電力設計でCO2排出量を削減
- 全国400か所のサービス拠点で迅速なサポートが可能
■特徴
日本電気株式会社から販売されている「FAL3」は、豊富な機能と優れた操作性が特徴の自動釣銭機です。入出金口には照射ナビゲートシステムが付いているため、自動釣銭機に慣れていない顧客でも分かりやすいように誘導してくれます。
さらに、オートリセット機能搭載で、硬貨や貨幣の詰まりを検知し自動で解消してくれるのでエラーが発生しにくい構造です。万が一のトラブルの際には、ディスプレーに処理方法がイラストで表示されるのですぐに対処できるでしょう。
■サイズ
- 紙幣つり銭機:227(W)×570(D)×130(H)mm
- 硬貨つり銭機:253(W)×570(D)×130(H)mm
■製品情報
対応金種 | 硬貨:1円,5円,10円,50円,100円,500円 紙幣:千円,二千円(入金のみ),五千円,一万円 |
質量 | 硬貨部:約14㎏ 紙幣部:約15㎏ |
処理速度 | 【硬貨】入金:6枚/秒 出金:999円/約1秒 【紙幣】入金:4枚/秒 出金:9,000円/約2.4秒 |
VITESE(ヴィッテス) VT-330

■おすすめポイント
- 操作に慣れない方でも使いやすいシンプルな設計
- LEDで次の操作を誘導してくれる
- 操作ミスの際のブザー音を状況に合わせて選べる
■特徴
「VITESE(ヴィッテス) VT-330」は、東芝テック株式会社がリリースしている自動釣銭機です。キーは3種類それぞれに分かれており、ユニットキーや現金の入ったカセットを取り出すためのキー、さらには現金管理用のマネージャーキーがあるためセキュリティも向上します。
また、さまざまなオプション機能も付いているため、必要に合わせて機能を選択することが可能です。向きが揃った紙幣を出金するためのオプションや、POSでガイダンスしてくれる機能、さらにはオーバーフロー硬貨の自動出金機能などがオプションで選択できます。
■サイズ
- 紙幣つり銭機:220(W)×540(D)×130(H)mm
- 硬貨つり銭機:260(W)×540(D)×130(H)mm
- 棒金ドロワ:260(W)×540(D)×55(H)mm
- 小型ドロワ:220(W)×530(D)×89(H)mm
- コイントレー:220(W)×540(D)×33(H)mm
■製品情報
対応金種 | 硬貨:1円,5円,10円,50円,100円,500円 紙幣入金:千円,五千円,一万円 |
質量 | 硬貨部:約15.5㎏ 紙幣部:約15㎏ 棒金ドロワ:約7㎏ 小型ドロワ:約7㎏ コイントレー:約4㎏ |
処理速度 | 【硬貨】入金:約6枚/秒 出金:約1.6秒以内(999円) 【紙幣】入金:約3枚/秒 出金:約3枚/秒 |
Paycube

■おすすめポイント
- キュービックタイプとL型タイプから選べる
- 内部に保有できる硬貨・貨幣枚数が多い
- 処理速度が高速なので待機時間の削減に
■特徴
「Paycube」は株式会社日本コンラックスから発売されている、セルフ会計に適した自動釣銭機です。内部に保管しておける入金貨幣数は硬貨が1,000枚、紙幣が480枚と非常に多いため、補充や回収作業がほとんど発生しません。
仮に補充があったとしても、カセット交換だけなのでお金を直接触る必要もないので衛生的です。万が一トラブルが発生した時は、ディスプレイにQRコードが表示されます。そのQRコードをスマホで読み取るだけで、現場スタッフでも対処できるので安心です。
■サイズ
- キュービックタイプ:385(W)×345(D)×430(H)mm
- L型タイプ:530(W)×345(D)×430(H)mm
■製品情報
対応金種 | 硬貨入金:1円,5円,10円,50円,100円,500円 出金:1円,5円,10円,50円,100円,500円 紙幣入金:千円,二千円,五千円,一万円 出金:千円 |
質量 | キュービックタイプ:約34.2㎏ L型タイプ:約36.5㎏ |
処理速度 | 【硬貨】入金部:15枚/秒 出金部:15枚/秒 【紙幣】入金部:1.3枚/秒 出金部:2枚/秒 |
小型製品以外も含めた自動釣銭機については、下記の記事で紹介しています。気になる方はチェックしてみてください。

自動釣銭機を選ぶときのチェックポイントは?
自動釣銭機を選ぶ際には、下記の点をチェックするようにしましょう。
- 対応金種
- 処理速度
- 使いやすさ
ここからは、自動釣銭機を選ぶ際のポイントを詳しく解説していきます。
対応金種
最初のポイントは「対応金種」です。メーカーによっては、すべての金種に対応していないものもあります。たとえば、二千円札や新500円玉は対応していない製品もあるので注意しましょう。
さらに、出金できる金種が限られているものもあります。9,000円のお釣りの際に、5,000円札の出金ができないものだと1,000円札9枚でのお釣りとなります。5,000円札の用意が不要な反面、1,000円札の消費が多くなるのでその分補充の頻度が高くなるでしょう。
処理速度
次のチェックポイントは「処理速度」です。自動釣銭機を導入するメリットのひとつが「会計処理をスピードアップできる」という点になります。しかし、自動釣銭機の処理スピードが遅いと、会計処理が滞ってしまい自動釣銭機の導入メリットを十分に活かすことができないでしょう。
お釣りが吐き出されるまでの時間が遅いと、顧客の満足度が低下してしまうリスクもあります。待ち時間のストレスを顧客に与えることのないよう、処理速度の高いものを選ぶようにしましょう。
使いやすさ
最後は「使いやすさ」が挙げられます。特にセミセルフレジやフルセルフレジなど、顧客自身が操作するタイプの自動釣銭機であれば使いやすさは必須項目といえるでしょう。高齢者や機械操作が苦手な人でも操作しやすいような工夫がされている自動釣銭機を選ぶことが大切です。
たとえば、画面が大きく見やすいものであれば、ひと目でいろいろな情報を把握しやすくなります。さらに、LEDで入金やお釣りの受け取りを誘導してくれるものであれば、顧客も次の操作が分かりやすいでしょう。
自動釣銭機導入で実現できること|導入のメリットとは?
自動釣銭機は大きく分けて、下記の3種類に分類できます。
- 自動釣銭機POSレジ
- セミセルフレジ
- フルセルフレジ
どの自動釣銭機でも導入することで、さまざまなメリットを得ることが可能です。まずは、上記3種類の自動釣銭機が、どのように使われているのかを簡単に解説していきます。
① | 自動釣銭機POSレジ② | セミセルフレジ③ | フルセルフレジ
自動釣銭機POSレジは、その名の通り自動釣銭機とPOSレジが連携したタイプのものです。スーパーやドラッグストアなどで使用されていることが多いでしょう。自動釣銭機POSレジの場合、レジの操作や会計はレジ担当者が行います。 顧客からお金を受け取り、自動釣銭機に投入すると自動的にお釣りが吐き出されます。そのお金をスタッフが顧客に手渡し、会計は完了です。顧客が自動釣銭機に触れることはなく、トータルの作業をすべてレジスタッフが行う会計スタイルになります。 | セミセルフレジは商品の読み取りまでをレジ担当者が行い、精算は顧客自身で行うタイプの会計方法です。中には商品の読み取り後、バーコードやQRコードが発行されるものもあります。発行されたバーコードやQRコードを自動釣銭機に読み取らせることで、顧客は精算を行うのです。 セミセルフレジの場合は、レジ担当者がお金に触れる必要がありません。そのため、自動釣銭機POSレジに比べて、衛生面の強化につながるでしょう。 | 最後は「フルセルフレジ」です。フルセルフレジは商品の読み取りから精算まで、会計業務すべてを顧客自身で行うタイプになります。スーパーなどでも「セルフレジコーナー」として、フルセルフレジが設置されているところも増えてきています。 セミセルフレジよりもさらにスタッフの業務負担が軽減できるでしょう。しかしながら、レジ操作に慣れない顧客が精算業務を行うため、時間がかかってしまうというデメリットもあります。商品が読み取れない、操作方法が分からないといった問い合わせに対応するために、常駐スタッフも必要になるでしょう。 |
自動釣銭機導入によって実現できる運用方法3種類は上記の通りです。加えて、昼はセミセルフ、夜はフルセルフといったハイブリッド運用も可能です。では自動釣銭機導入によるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。3種類に分けられる自動釣銭機ですが、どの運用方法であっても共通して下記のようなメリットがあります。
【自動釣銭機導入によるメリット】
・待ち時間短縮による顧客満足度の向上
・会計ミスの削減
・衛生面の強化
・レジ担当者の業務負担軽減
自動釣銭機では自動でお金の計算を行うため、お金の数え間違いや釣銭の渡し間違いなどの人的ミスを防ぐことができます。また、レジ内の金額も自動で計算されるため、レジ締め業務の負担軽減にも繋がるでしょう。
自動釣銭機の導入費用を抑えるなら補助金を活用する
自動釣銭機は決して安価なものではありません。初期導入費用が高額になるために、導入に踏み切れないという施設も多いことでしょう。初期導入費用を抑えるために、補助金の活用もおすすめです。
ここからは、自動釣銭機の導入に活用できる「IT導入補助金」「業務改善補助金」の2種類について、簡単に解説していきます。
自動釣銭機導入時は、下記以外にも活用可能な補助金が計7種類あります。下記の記事で詳しく解説していますので気になる方は是非チェックしてみてください。

IT導入補助金
IT導入補助金は中小企業や小規模事業者がITツールを導入することで、業務効率化や売上アップをサポートするための補助金です。助成される金額は補助率1/2以内か上限450万円と定められています。
なお、IT導入補助金は自動精算機自体に対してではなく、ソフトウェアに対して適用されるので注意しましょう。また、IT導入補助金を受けられるかどうかの審査があります。審査に通らない場合は助成を受けることができませんので、事前に必要書類や申請期限を確認しておく必要があります。
業務改善補助金
「業務改善補助金」は、厚生労働省が中小企業や小規模事業者の生産性向上をサポートし賃金の引き上げを図るための制度です。生産性向上のために自動釣銭機などの機械設備を行い、最低賃金を引き上げた場合に設備投資に支払った費用の一部が助成されます。
ただし、補助金の支給にはいくつかの条件があります。賃金額の引き上げや生産性が向上したことを証明する書類などが必要になりますので、事前に確認しておきましょう。また、助成額には上限があり、自動精算機の導入にかかった費用全額が支払われるわけではないので注意してください。
まとめ
自動釣銭機を置くためにはある程度のスペースが必要になるため、狭い店舗ではなかなか導入できないというケースも少なくありません。しかしながら、自動釣銭機の中には卓上に置けるような、小型サイズのものもありますのでぜひ検討してみましょう。
自動釣銭機は安い買い物ではありませんが、人件費の削減や業務効率化、衛生面の強化などさまざまなメリットを得ることができます。顧客満足度が向上するため、集客率にも大きく影響するでしょう。活用できる補助金もありますので、賢く活用しながら自動釣銭機の導入を検討してみてください。